2021.02.04更新

 

虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

 

私は、複数の不動産業者の顧問弁護士をしておりますが、先日、担当者から、このような質問を受けました。

 

従前の売主の時には、通行が認められていたが、新たな買主に対しては、近隣住民である私道の所有者が通行を承諾してくれないというようなことが時々起こります。

 

このような場合、私道の所有者の同意が得られなくても、通行が認められるか否かは、従前、どのような根拠によって、通行が認められていたか否かによって異なります。

 

通行権

 

 

① 位置指定道路やみなし道路の場合


 

 

当該通路が建築基準法上の道路に該当する場合、すなわち、位置指定道路(同法42条1項5号)やみなし道路(2項道路。同条2項)に該当する場合は、道路としての機能を期待されているため、買主に限らず一般人も当該通路を事由に通行することができ、当該通路の所有者はこれを妨げることはできません。

 


② 囲繞地(袋地)通行権が認められる場合


 

 

購入した土地が袋地の場合には、公道に出るため、囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行することができます(民法第210条)。ただし、通行できる場所及び方法は、通行権者のために必要で、囲繞地のために損害がもっとも少ないものを選ばなければなりません(同法第211条)。

 

また、購入した土地が従前袋地ではなかったが、分割されて袋地となった時は分割者の土地のみを通行することができます(同法第213条)。

 

なお、囲繞地通行権は、平成16年の民法改正により、「公道に至るための他の土地の通行権」に改称されました。

 

 


③ 通行地役権が設定されている場合


 

 

売買された土地の便益のために、当該通路を通行目的のために利用する内容の地役権が設定されている場合は、物権ですので、買主に地役権が移転し、改めて通路所有者の同意を得なくても、通行することができます。

 

また、地役権は登記することができ、登記されていれば、通路の所有者が替わったとしても、新たな所有者に対しても、地役権を主張することができます。

 

 

④ 従前の売主と通路所有者との間で通路の利用契約が締結されていた場合


 

 

このような利用契約は債権契約であり、契約当事者間のみにおいて法的拘束力を有するものであって、土地が売買されても、買主には承継されず、買主はこの利用契約に基づく権利を主張することができません。このような場合には、私道所有者の同意を得る必要があります。

 

 

 

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔