借家権・借家トラブル

Rental house trouble

借家について、こにようなお悩みはありませんか?

オフィスを借りることがほとんど決まって準備していたのに、直前になってビルオーナーから契約を拒否された。
入居した後、設備に瑕疵があることが判明したが、仲介業者に対し損害賠償請求できるか?
雨漏り・漏水により、居住や、営業ができなくなった。
退去するにあたり、賃貸人(の指定業者)から、広範で多額の原状回復費用を請求された。

借家権・借家トラブルに関する主なケース

Case1

賃貸借契約の成立時期・交渉の不当破棄

賃貸借契約の成立時期

東京高裁平成20年1月31日判決は、オフィスビルの賃貸借交渉に関し、入居希望者が貸主の求めに応じて、階数については追って決定すること、面積や、敷金、賃料月額等の記載があり、その他の賃貸借契約の諸条件について期限までに双方が完全な合意に達することが成約のための条件となること等の記載がある貸室申込書を提出し、その後、貸主が入居希望者に対し、階数を特定した承諾書を交付した時点では、賃貸借契約の成立を認めませんでした。

成約されるには、これらの合意に加えてなお、賃借目的部分の具体的な特定、契約更新、期間内解約、賃料等の改定、内装工事等に関する合意に至ること、賃貸借契約書等への調印が予定されていたことを理由としています。

交渉の不当破棄
契約締結前の交渉段階であっても、相手方に契約の成立に対する強い信頼を与え、その結果、相手方が準備を進め費用の支出等をしている場合には、その信頼を裏切って交渉を一方的に打ち切った当事者は、相手方が被った損害を賠償する責任があります(契約締結上の過失)。

前記東京高裁平成20年1月31日判決も、賃貸借契約締結前でしたが、契約締結にあたり、重要な課題がクリアされた後に、借主が一方的に交渉を破棄した事案について、損害賠償を認めています。

また、入居者が外国人であることを理由として、契約締結直前に交渉を一方的に打ち切り、入居を拒否した事案について、損害賠償請求を認めた裁判例があります(京都地裁平成19年10月2日判決等)。

Case2 

賃貸仲介業者の説明義務違反

賃貸仲介業者は、賃借を検討している者に対し、賃借するか否か、賃料をいくらにするか、賃料以外の賃貸条件をどのように決めるのかなどの決定に重大な影響を及ぼす事項について、説明をしなければなりません。

また、「不動産の賃貸借契約を仲介する宅建業者としては、当該契約の目的不動産について、賃借人となろうとする者の使用目的を知り、かつ、当該不動産がその使用目的では使用できないこと又は使用するに当たり法律上・事実上の障害があることを容易に知り得るときは、それが重要事項説明書の記載事項(宅建業法35条1項各号)に該当するかどうかにかかわらず、賃借人となろうとする者に対してその旨を告知説明すべき義務があるというべきである。」(東京地裁平成28年3月10日判決)とされています。

賃貸仲介業者が、これら説明義務に違反した場合、損害賠償請求できる場合があります。ただし、説明義務違反と損害との間に相当因果関係が認められる必要があります。

賃貸仲介業者の物的状態に関する調査・説明義務については、こちらをご参照ください。

Case3

通常損耗の原状回復義務

改正民法は、それまでの実務上のルールを明文化し、賃借人の原状回復義務を認める一方、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。」と定めました(621条)。したがって、通常損耗については、賃借人が原状回復義務を負わず、賃貸人が負担するのが原則です。

もっとも、賃貸人の側からすれば、畳や、床、壁紙など新品状態の方が新しい賃借人を得やすいことから、一方的に、通常の使用による損耗分を含めて修理原状回復にかかった費用を敷金から差し引くことがあり、これが紛争の火種になります。しかし、このような家主の主張が認められるには、その旨の通常損耗補償特約がなければなりません。

この点、最高裁平成17年12月16日判決は、「建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(通常損耗補修特約)が明確に合意されていることが必要である」旨判示しています。

詳しくは、こちらをご参照ください。

Q&A

Q

建物が第三者に譲渡された場合、賃貸借契約はどうなりますか?

A

建物の賃借権は、その登記がなくても、建物の引渡を受けていれば、新所有者にも対抗できます(借地借家法第31条)。その結果、建物の所有権の移転に伴い、当然に、賃貸借契約も新所有者に承継され、新所有者を新たな賃貸人として継続します。賃貸人たる地位の移転・承継について、原則として、賃借人の同意は不要と解されています。賃貸人の地位の移転には、賃貸人の賃借人に対する義務の移転を伴いますが、その義務の履行は、誰が賃貸人であっても、その履行に大きな差異を生じるものではないため不利益は大きくなく、通常、賃借人にとって、新所有者に賃貸借契約が承継される方が有利だからです。詳しくは、こちらをご参照ください。

 

Q

火災により建物が焼損した場合、賃貸借契約はどうなりますか?

A

建物が滅失したときに、建物賃貸借契約がどうなるかについて、法律上、明文規定はありませんが、賃貸借契約の趣旨が達成できなくなるからとの理由で、賃貸借契約は当然に終了するというのが判例(最高裁昭和32年12月3日判決)です。火災により、どの程度、建物が焼失すると、賃貸借契約は終了するかについてはこちらをご参照ください。

Q

レンタルオフィスにも、借地借家法は適用されますか?

A

判例は、「障壁その他によって他の部分と区画され、独占的排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、借地借家法1条にいう建物にあたる。」と判示しており(昭和62年6月26日判決)、その後の裁判例でも、構造上の独立性と使用上の独立性の観点から、借地借家法の適用の有無が判断されています。
そのため、施錠できる独立の入り口がなく、隣とパーテーションで区切られたスペースを使用させるようなレンタルオフィスには、借地借家法の適用はされないでしょう。これに対し、面積が3.5㎡と狭くても、4方を天井まで隙間のない障壁で囲まれ、共用部分とか鍵付きのドアによって区画される場合には、借地借家法により保護されます(東京地裁平成26年11月11日判決)。
借地借家法の適用を受けるか否かは、このように、構造上・使用上の独立性から判断され、契約書の名称やその契約内容によって決まるものではなく、契約書に「借地借家法の適用は受けない。」、「賃貸借契約書上の権利を発生させるものではない。」と定められているだけでは、借地借家法の適用を排除できません。

Q

共有建物を賃貸する場合、共有者全員の同意が必要ですか?

A

3年を超える賃貸借は、処分行為となり、共有者全員の同意が必要となります。また、契約期間が3年未満であっても、借地借家法が適用され、契約の更新により、事実上、賃貸借契約が長期間継続する蓋然性が高い普通借家契約の場合も、原則として、共有者全員の同意が必要です。ただし、例外的に、貸しビルで、テナントに賃貸する以外の使用方法が予定されていないような場合には、長期間の賃貸借契約の締結も管理行為として、共有持分の過半数の同意で賃貸できます(東京地裁平成14年11月25日判決)。

Q

サブリース契約について、更新拒絶することはできますか?

A

基本的に、サブリース契約にも、借地借家法が適用されますので、賃貸人から、更新拒絶をするためには、正当事由が必要となります(同法第28条)。
では、サブリース契約であることが正当事由の判断において、どのように考慮されるのかということですが、サブリース契約であることが、建物の使用を必要とする事情の一要素として考慮されることはあっても、サブリース契約であること自体が、正当事由を認める方向で独立の重要な考慮要素となるものではありません(平成21年4月22日判決)。
また、賃貸人自らが、テナントを管理する必要性は、「自己使用」すると評価することはできません(東京地裁平成23年6月9日)。