不動産仲介トラブル

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不動産仲介のトラブルについて、こんなお悩みはありませんか?

依頼者の意向で、売買契約が白紙撤回されたが、仲介報酬を請求したい。
依頼者に取引物件を紹介したところ、当社を排除して、当事者間で直接、売買契約を締結してしまった。
不動産売買を仲介したが、売買当事者から損害賠償請求されている。

不動産仲介トラブルの主なケース

Case1 

媒介報酬と売買契約の解除

仲介業者の媒介報酬請求権は、仲介により売買契約が成立したときに発生します。しかし、その後、売買契約が解除された場合に、委託者に対し、媒介報酬を請求できるか否かは解除原因や事情によって異なります。

クーリング・オフ
宅建業者が自ら売主となる売買契約について、宅建業社の事務所等以外の場所において、売買契約を締結した買主は、基本的に、一定期間、無条件で売買契約を解除することができます(宅建業法37条の2)。これにより、買主が解除した場合には、売買契約は遡及的に効力を失い、仲介業者の媒介報酬も請求できなくなります。

手付放棄
買主からの手付金放棄により不動産売買契約が解除された場合、媒介報酬に関する特約がないときは、売主側の仲介業者において、商法512条に基づき、売主が受領した手付金の金額を基準に、売主に対し報酬を請求できるとした裁判例があります(那覇地裁平成15年7月8日判決)。

債務不履行解除
仲介人が宅地建物取引業者であって、依頼者との間で、仲介によりいつたん売買契約が成立したときはその後依頼者の責に帰すべき事由により契約が履行されなかつたときでも、一定額の報酬金を依頼者に請求しうる旨約定していた等の特段の事情がある場合は格別、一般に仲介による報酬金は、売買契約が成立し、その履行がなされ、取引の目的が達成された場合について定められているものと解されています(最高裁判所昭和49年11月14日判決)。

Case2

直接取引と仲介報酬請求

委託者が仲介業者を排除して、仲介業者の紹介した売買の相手方と直接交渉して、売買契約を成立させた場合を直接取引(抜き取引)といいます。このような場合、仲介業者から、委託者に対し報酬請求がなされ、争いになります。

争点
直接取引において、問題となる争点としては次のものがあげられます。
・仲介契約が成立していたか否か
・その後、仲介契約が解除されたか否か
・委託者が仲介業者を排除したか。その排除行為が信義則に反するか。
・仲介業者が契約の成立に寄与したか。その寄与割合。

仲介契約の成否
標準媒介契約書を取り交わしている場合は問題ありませんが、そうでない場合には、次のような事実により仲介契約の成否を判断します。
・委託者と仲介業者との間で、取引物件に関する資料の授受がなされているか。
・売却や購入希望価格や条件について打ち合わせをしたか。
・委任状や売渡承諾書、買付証明書の提出がされているか。
・委託者が、ホームページや広告に掲載することに同意していたか。
・委託者が仲介業者の取引・交渉への関与に異議を述べず、容認していたか。

排除の信義則違反を基礎づける事実
・取引経過や売買契約条件の成熟度
・委託者が仲介業者を排除した時期と、相手方と直接交渉を開始した時期、売買契約が成立した時期の近接度
・仲介業者を通じて行っていた取引条件と、当事者の直接取引により成立した売買契約の取引条件の異動
・委託者が直接取引をしたことについて、合理性や正当事由があったか。仲介業者に、義務違反があったか。

Case3

売買仲介業者の調査・説明義務違反

宅建業法に基づく調査説明義務
同法35条は「少なくとも次の各号に掲げる事項について」としており、宅地建物取引業者が調査説明すべき事項を限定列挙したものではなく、宅地建物取引業者が、ある事実が売買当事者にとって売買契約を締結するか否かを決定するために重要な事項であることを認識し、かつ当該事実の有無を知った場合には、信義則上、仲介契約を締結していない売買当事者に対しても、その事実の有無について調査説明義務を負う場合があると解されています(東京地裁平成25年7月3日判決等)。
また、宅地建物取引業者は、契約を締結するか否かを決定するために重要な事項について故意の不実告知等をすることが禁止されています(47条1号)。

法令上の制限
宅地建物取引業者は建築規制等の法令上の制限については積極的に調査を行う義務や、その調査結果を適切に説明する義務を負っています(宅建業法第35条1項、施行令3条)。接道要件や都市計画法による建築規制を説明しなかった場合は説明義務違反となります。

また、同条項に定められていない指導要綱や行政指導等については、宅建業法に定められた規制ではなりませんが、建築規制である以上、買主の契約締結の判断に重要な影響を及ぼす事項ですので、仲介業者がこれらの存在や内容を知りながら、説明しなかったり、事実と異なる説明を行った場合には説明義務違反になることがあります。

物理的瑕疵
宅地建物取引業者は目的物に物理的な瑕疵・契約不適合が存在するか否かを調査する専門家ではないので、特に調査義務を負う契約をしていない限り、これらについて積極的に調査して説明する義務はありません。ただし、業務の過程で、物理的瑕疵・契約不適合の事実を知ったり、その可能性(通常有すべき安全性を有しない建物であることを疑う特段お事情)を認識したりした場合には、契約締結の判断に重要な影響を及ぼす事項として正確に告知する義務を負います(同法第47条1項)。

地中埋設物・土壌汚染
宅地建物取引業者は、これらに関する調査義務を負っておらず、上記物理的瑕疵の場合と同様です。

Q&A

Q

直接依頼はしていませんが、売主側の仲介業者にも損害賠償請求できますか?

A

仲介業者に調査・説明義務違反がある場合、買主が直接依頼した仲介業者(客付け業者)に対しては媒介契約に基づく債務不履行責任を追及することができます。これに対し、媒介契約を締結していない売主側の仲介業者(元付け業者)に対しては債務不履行責任を追及することはできませんが、不動産仲介業者は、直接の委託関係はなくても、これら業者の介入に信頼して取引につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務を負いますので(最高裁昭和36年5月26日判決)、売主側の仲介業者に説明義務・注意義務違反があったときは不法行為に基づく損賠償請求をすることができます。