賃料増額・減額

Rent increase・reduction

賃料増額・請求について、こんなお悩みはありませんか?

賃料増額請求をしたけど、賃借人が応じてくれない。
賃料増額請求をしたいけど、できるか否か、どのくらいの賃料額が妥当かわからない。
賃料増額請求請求を受けたけど、どのように対応していいかわからない。
サブリース契約に賃料の自動増額特約があるが、むしろ減額請求したい。

賃料増額・減額請求に関する5つのポイント

Point1

賃料増減額請求の要件

賃料が諸事情の変化により客観的に不相当になったことです。賃料が不相当になったか否かの判断要素として、次のような事項が考慮されます。

・土地または建物に対する租税その他の負担の増減

・土地または建物の価格の上昇・低下その他の経済的事情の変動

・近傍類似の建物の家賃水準との比較

・現行の賃料が定められてから相当期間が経過したこと

・現行賃料額が定められた事情など当事者間の具体的な諸事情

賃料額が不相当になったことについては、その立証のため、事前に、不動産鑑定士により鑑定を依頼すべきでしょう。継続賃料の算定については、利回り法、スライド法、差額配分法、賃貸事例比較法等の方式があります。

Point2

賃料増額・減額請求の効果

賃料増減額請求の効果は、その意思表示が相手方に到達した時点で、効果が生じ、これによって、賃料は増額(減額)されます(その法的性質は形成権と解されています)。このように説明すると、賃貸人あるいは賃借人の一方的な意思表示によって、一方的に賃料が増額(減額)されてしまうのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そういうわけではありません。当事者間に争いがある場合、賃料増減額の当否・範囲は、裁判所の裁判によって定められることになります。増減額は、必ずしも当事者の意思表示の内容によって定められるわけではなく、経済的事情の変動等を考慮要素として客観的に定められるのです。

また、賃料増減額請求の効果は、「将来に向かって」効果が生じます(借地借家法第32条1項。したがって、過去に遡って、賃料を増額したり、減額したりすることはできません。

Point3

賃料増減額請求の行使方法

前述のとおり、賃料増減額請求の意思表示は、相手方に到達した時点で「将来に向かって」効果が生じます。そこで、相手方に賃料増減額請求の意思表示をしたことを客観的に証明するため、配達証明付きの内容証明郵便によって通知するのが一般的です。また、増減額後の賃料額や、その根拠を明示してすべきです。

Point4

賃料増額・減額請求を受けた場合の対応

賃料増額請求を受けた場合

賃借人が、賃貸人から賃料増額請求を受けた場合、当事者間に協議が整わない時は、賃借人は、相当額を定める裁判が確定するまでは、自らが相当と認める額の賃料を支払えば足ります。ただし、裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足額があるときは、不足額に支払期限から年1割の利息をつけて支払わなければなりません(借地借家法第32条2項)。 なお、賃貸人が、賃借人の相当と認める額では受け取らない場合や受け取らないことが明らかな場合は、賃料の供託をすべきです。

賃料減額請求を受けた場合

賃貸人が、賃借人から、賃料減額請求を受けた場合、当事者間に協議が整わない時は、賃貸人は、相当額を定める裁判が確定するまでは、自らが相当と認める額の賃料の支払い請求をすることができます。ただし、裁判が確定した場合において、既に支払いを受けた額が正当とされた額を超えるときは、その超過額に受領時から年1割の利息をつけて返還しなければなりません(同法第32条3項)。

Point5

賃料増減額請求の法的手続き

調停前置主義

賃料増減額の意思表示をした後、当事者間の交渉がまとまらない場合、まず調停の申し立てをし、調停で解決をはかることになります(調停前置主義。民事調停法第24条の2)。調停は、原則として、裁判官である調停主任1名と不動産鑑定士や弁護士など専門的知識を有する民事調停委員2名以上で構成され、調停において当事者間で合意が成立し作成された調書は、確定判決と同一の効力を有します(同法第16条、民事訴訟法第267条)。

調停に代わる決定

当事者間で、合意が成立する見込みがない場合において、裁判所が相当と認める時は、民事調停委員の意見を聴いて、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情をみて、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件解決に必要な決定をすることができます(調停に代わる決定。民事調停法第17条)。 当事者は、かかる決定の告知の日から2週間以内に異議申立てをすることができ、この異議申し立てにより決定は失効します。他方、同期間内に異議申立てがなかった場合、調停に代わる決定は、確定判決と同一の効力を有することになります(同法第18条)。

訴訟

調停がまとまらない場合には、改めて訴訟提起をし、訴訟により解決を図ることになります。なお、調停不成立の日から2週間以内に訴訟提起した時は、調停申立の時に、その訴えの提起があったものとみなされます(同法第19条)。

Q&A

Q

賃料を減額しない旨の特約は有効ですか?

A

 無効です。
一定期間増額しない旨の特約は有効ですが(借地借家法第11条1項、第32条1項但書)、減額しない旨の特約は無効です。同条項は強行法規であり、賃借人に不利な条件は無効だからです。但し、定期借家契約においては、特約で賃料減額請求についても排除することが可能です(第38条7項)。また、判例上、サブリース契約において、賃料の自動増額特約(例えば、3年ごとに5パーセントずつ賃料を増額する旨の特約)が定められている場合にも、賃料額が不相当になった場合には、賃借人は自動改定特約に拘束されず減額請求することができるとされています。