不動産売買トラブル

Real estate buying and selling

不動産売買について、こんなトラブルはありませんか?

不動産売買について契約できると思い、準備を進めていたら、一方的に契約締結を拒絶された。
購入した土地に大量の産業廃棄物が埋まっていた。あるいは、土壌汚染があった。
不動産の売買について、売主に説明義務違反があった。
手付放棄により売買契約を解除をしたら、履行に着手しているから解除できないとして、売買代金全額を請求された。

不動産売買トラブルに関する主なケース

Case1 

交渉破棄

契約締結に向けて交渉が開始されても、最終的に契約を締結するか否かは当事者の自由であり(契約自由の原則)、一方当事者が途中で交渉を取りやめたとしても、原則として、相手方に対し損害賠償責任を負いません。

しかし、交渉が進み、相手方が、契約が締結されるであろうと信頼し、準備行為をする段階に至った時点で、一方的に交渉を破棄した場合には、信義則上、損害賠償義務を負う場合があります(契約締結上の過失)。

どのような段階に至れば、損害賠償義務を負うかについては、事案ごとに検討する必要がありますが、資金調達や、測量、工事など契約締結に向けた準備状況、事実上、契約内容について当事者双方の考えが取りまとめられたか、契約締結日が決められたか等が判断基準となります。

Case2

売主の瑕疵担保責任

法令上の制限

建物建築を目的とする土地売買では、契約上想定された建物を建築するための法令適合性が確保できなければ、それは、瑕疵となります。例えば、最高裁昭和56年9月8日判決は、「宅地造成を目的とした土地の売買契約にあっては、対象土地が、森林法等宅地造成目的を阻害する公法上の制限区域内にあることは、重大な瑕疵(法律的障害事由)であることは明らかである」と判示した原審判決を維持しました。

地中埋設物

地中に土以外の異物が埋設されていても、買主に特に不利益を与えるものでない限り、土地の瑕疵にはあたりません。他方、建物の建築が可能でありさえすれば、瑕疵がないともいえません。建物を建築するために、地盤の整備・改良を行うにあたり、通常予想される程度を超える特別の異物除去工事を必要とする場合には、土地の瑕疵と認められます。多くの裁判例において、でコンクリートやアスファルトのガラ、杭や構造物の残骸、産業廃棄物等が存在することは、瑕疵とされています。

土壌汚染

土壌に人の生命、身体、健康を損なう危険のある有害物質が、その危険がないと認められる限度を超えて含まれていないことは、売買契約の目的物である土地が通常備えるべき品質、性能に当たると解されています。その瑕疵の判断基準としては、土壌汚染対策法などに定められた有害物質の種類や基準値、行政指導が参考となります。また、法令の規制外であっても、生命・健康への危険が認められたり、購買意欲や価格の消極的要因になったりするのであれば、瑕疵にあたる場合があります。

*2020年4月1日に施行が予定されている改正民法では、瑕疵担保責任という用語は廃止され、代わりに、現行法の瑕疵担保責任と、特約(品質保証)に基づく責任とを含めた、「契約不適合責任」という概念が用いられるようになります。

Case3

売主の説明義務違反

裁判例は、「不動産売買における売主は、その売買の当時、購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識していた場合には、売主は、売買契約に付随する信義則上の義務として、購入希望者に対して当該事項について説明すべき義務があるというべきである。」と判示しています(東京地裁平成28年3月11日判決等)。例えば、設備や、日照、通風、眺望、自殺や隣人トラブルの有無について、売主に説明義務違反があったことを認め、損害賠償請求を認容した裁判例があります。

もっとも、どのような場合に売主が説明義務を負うか否かや、その内容については、当事者の属性や、契約の目的、取引の対象、契約締結に至る事情、当事者の認識等によって異なるため、一律に判断することができず、個別的な判断となります。

*今回の民法大改正でも、説明義務の明文化は見送られました。

Case4

手付解除

手付解除は、当事者の一方が契約の履行に着手した後にはすることができません(民法第557条1項)。「履行の着手」とは、履行の準備ではなく、「債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」をさします(最高裁昭和40年11月24日)。

例えば、売主側は、第三者所有の不動産売買において、第三者に代金を支払い、買主に譲渡する前提として売主名義にその所有権移転登記をしたことが、「履行の着手」に該当するとされています。他方、買主については、代金を調達しただけでは、「履行の着手」とはなりませんが、履行期に到達した後に代金の用意をして引換えの履行を催告すれば、「履行の着手」となります。

どのような場合に、「履行の着手」に該当するかは、多くの裁判例をリサーチし、当該事案との射程距離を検証する必要がありますので、不動産問題に精通する弁護士に相談されることをオススメします。

実際の解決事例

Case1 

売主が契約条件になっていた、土地の境界明示や測量図の交付を履行しないため、売買契約を解除したが、手付金の返金が受けられなかった事案

手付金返還を求める訴訟を起こしました。訴訟では主に、登記簿記載の面積で土地を売買する公簿売買か、現状有姿売買かが争点になりましたが、客観的な証拠により主張を積み重ね、訴訟提起から約1年で買主の言い分が通った形で和解となりました。

Q&A

Q

登記簿どおりの面積があるものと思って、土地を購入しましたが、測量したところ、面積が足りないことが分かりました。売主から、売買代金の一部を返してもらうことはできますか?

A

例えば、1㎡あたりの単価を登記簿上の面積に掛け合わせて、代金が決められたような場合(数量指示売買の場合)には、代金の一部返金を求めることができます。しかし、そうではなく、単に土地の特定のために、契約書に登記簿上の面積が表示されているだけの場合には、代金の返金を求めることはできません。また、実測面積が不足していることが分かっていたら、買わなかったという場合には、契約を解除し、売買代金全額の返金を受けることもできます。
なお、これら権利は、面積不足を知った時から1年以内に行使しなければ(裁判外の意思表示でも構いません)、行使できなくなってしまいますので、ご注意ください。