2015.04.17更新

土地についても、建物についても、賃料増減額請求権は、「将来に向かって」行使することができる旨定められていますので(借地借家法第11条1項、32条1項)、過去に授受した賃料額が不相当であったとしても、過去に遡って、賃料の増額又は減額を請求することはできません。

 

もっとも、これにかかわらず、当事者間でどのような合意をするかは自由ですので、当事者間の合意によって、過去の一定期間からの賃料額を増減し、精算することは、差し支えありません。

 

このように、賃料増減額請求権は将来に向かってのみ効力が生じるため、いつ賃料増減額請求権を行使したかが問題になります。その行使は、相手方に対する意思表示によって行われ、書面に限らず、口頭でも行使することも可能ですが、後に争いになることを想定して、配達証明付きの内容証明郵便で行う方がよいでしょう。

 

また、書面によって行使する場合、賃料増減の意思表示であることがわかればよく、賃料増減の根拠を示すことや金額を明示する必要はありません。しかし、裁判上、賃料増減額請求権を行使する場合には、請求の上限を画する必要から、訴状において金額を明示しなければなりません。

 

霞ヶ関パートナーズ法律事務所
弁護士  伊 澤 大 輔
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投稿者: 弁護士伊澤大輔

2015.04.16更新

借地借家法第32条本文には、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価値の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」と定められていますので、基本的に、これら事情が考慮されます。

 

もっとも、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号50頁)は、サブリース契約が、賃借人の転貸事業の一部を構成するものであり、サブリース契約における賃料額及び賃料自動増額等に係る約定は、賃貸人が賃借人のために多額の資本を投下する前提となったものであって、これらの事情は契約当事者が当初賃料額を決定する際の重要な要素となった事情であるから、衡平の見地に照らし、賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断する場合に、重要な事情として十分に考慮されるべきである旨判示しています。

 

このように、サブリース契約に関しては、当初賃料額や賃料自動増額特約をはじめ契約に至った事情が重要な事情として考慮されるため、サブリース契約の締結に至るまで、賃貸借期間を通じて賃貸人に多額の収益が生じることを予測した収益試算表を前提として交渉が重ねられたことをもって、サブリース契約における賃料額は、賃貸人の収益を相当程度確保するものでなければならないと判示する裁判例も存在します(東京高裁平成23年3月16日判決)。

 

裁判例(上記高裁判決、東京地裁平成20年6月24日判決等)では、賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断する事情として、

 ① 当該不動産周辺の地域において、地価や賃料相場の下落傾向が続いていること。

 ② 固定資産税等の減額により、賃貸人の負担軽減があったこと。

 ③ 建物建設にかかる借入の金利引き下げにより、賃貸人の負担軽減があったこと。

 ④ 賃借人が賃貸人に支払う賃料額が、転貸賃料を上回る「逆ざや」状態が相当期間続いていること。

などが考慮されていますが、これらと共に、サブリース契約が締結された事情や賃貸人の収益性確保が考慮されるのです。

 

霞ヶ関パートナーズ法律事務所
弁護士  伊 澤 大 輔
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投稿者: 弁護士伊澤大輔

2015.04.15更新

はい。行使することができます。

 

かつてサブリース契約については、事業契約であって賃貸借契約ではないから、借地借家法第32条(賃料増減請求権)は適用されないなどと主張され、争われていましたが、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号50頁)が、その合意の内容は、賃貸部分を収益させ、その対価として賃料を支払うというものであり、賃貸借契約であることが明らかであるから、同条が適用されると判示し、一定の結論が出ています。

 

ところで、サブリースでは、賃料自動増額特約(賃料について、×年ごとに、□%値上げするという特約)や、最低賃料保証特約が入っていることが多く、これら特約は賃料を減額しない旨の約束を含むと解されますが、これら特約が入っている場合にも、賃料減額請求権を行使することはできるのでしょうか。

 

借地借家法第32条1項但し書きには、「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」と定められており、一定期間増額しない旨の特約は有効ですが、これとは反対に、一定期間減額しない旨の特約があっても、減額請求ができると解されます。

 

判例も、借地借家法第32条1項の規定は強行法規であり、賃料自動増額特約や、最低賃料保証特約によってもその適用を排除することができない旨判示しています(上記最高裁判例、最高裁平成15年10月23日判決等)。

 

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投稿者: 弁護士伊澤大輔

2015.04.10更新

サブリース契約にも、借地借家法の適用があり、賃貸人が契約の更新を拒絶するには、同法第28条に定めれた正当事由が必要になります。

 

まずサブリース契約に借地借家法の適用があるか問題になります。サブリース契約は、実質的には業務委託契約であるから借地借家法の適用がないとして、争われることがありますが、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号37頁)によって、サブリース契約についても、借地借家法32条1項(賃料増減額請求権に関する規定)が適用があるとされ、この問題について、一応の決着がつきました。

 

また、東京地裁平成24年1月20日判決(判例時報2153号49頁)も、サブリース契約について、建物部分を賃貸し、その対価として賃料を支払うというものであり、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、旧借家法1条の2の適用があり、契約の更新を拒絶するには、正当事由が必要であると判示しています。

 

正当事由の有無は、具体的には、当事者双方の建物を使用する必要性の有無、程度に関する事情を最も重要な要素とし、これに加え、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、契約期間中の賃借人の不信行為、立退料の申出などを従たる要素として考慮して判断されます。サブリース契約の場合も、例外ではありません。

 

そして、上記東京地裁判決は、原告(賃貸人)が、当該建物部分を使用する必要性として、自助努力によって収益を得る必要性があると主張したことに対し、その必要性とは、賃借人である被告を排除して、自ら直接の賃貸人となること等によって、自らがより高額の賃料を得たいというものであるところ、被告に対し賃料増額請求権の行使をすることによって相当な額に変更することが可能であること等から、被告に比して、原告において当該建物部分を使用する必要性は低いと判示しています。

 

また、上記東京地裁判決は、原告が、自らが本社として当該建物を使用する必要性があると主張したのに対し、従前の協議や、訴訟前の調停及び訴状において、そのような主張をしていなかったこと、原告は当該建物のうち空いている部分を本社として使用していなかったこと、原告の現在の本社は原告の関連会社が所有している物件であることを認定し、原告において当該建物を本社として使用する必要性は低いと判示しています。

 

他方、上記東京地裁判決は、被告の当該建物部分を使用する必要性を判断する場合、原則として、転貸してこれを転借人が使用する必要性があることもその考慮に含めてよいものと解されるところ、転借人が当該建物部分を使用する必要性があることは明らかである上、被告は、この転貸によって転貸料等の収入を得ており、また、建物の転貸条件付一括借上による賃貸業務等を目的とする被告にとって建物賃借権が存在することは事業上重要な部分を占めているものであり、被告において、転借人の利益又は自らの利益のいずれの面からも、当該建物部分を使用する必要性があるものといえると判示しています。

 

こうして、上記東京地裁判決は、原告の更新拒絶には正当事由がないとして、原告の明け渡し請求を棄却しました。

 

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投稿者: 弁護士伊澤大輔