2016.05.31更新

霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

建物が滅失したときに、建物賃貸借契約がどうなるかについて、法律上、明文規定はありませんが、賃貸借契約の趣旨が達成できなくなるからとの理由で、賃貸借契約は当然に終了するというのが判例(最高裁昭和32年12月3日判決)です。

 

では、火災により、どの程度、建物が焼失すると、賃貸借契約は終了するのでしょうか。

 

この点、最高裁昭和42年6月22日判決は、賃借建物が、火災により、2階部分は屋根及び北側土壁がほとんど全部焼け落ち、柱、天井の梁、軒桁等は半焼ないし燻焼し、階下部分は北側土壁の大半が破傷したほかはおおむね被害を免れているが、罹災のままの状態では風雨をしのぐべくもなく、倒壊の危険さえもあり、そのため火災保険会社は約9割の被害と認めて保険金を支払ったこと、完全修復には多額の費用を要し、将来の耐用年数を考慮すると、建物全部を取り壊して新築する方が経済的である等の事実がある場合には、当該建物は、火災により全体として効用を失い、滅失したものというべきであるとし、建物賃貸借契約はこれにより終了したと解するのが相当であると判示しています。

 

また、横浜地裁昭和63年2月26日判決は、建物の修復には新築よりも多額の費用を要すること、その一部であり、賃貸借の対象である店舗部分には外形的損傷はないが、電気、水、ガス関係の修復等を要し、多大な損傷を受けていないとはいえないことを認定し、当該建物の効用が主要な部分で喪失し、それを完全に回復するために家主が通常負担する以上の修繕費を必要とし、かえって、当該建物を取り壊して新築するほうが経済的であるから、当該店舗は主要な部分が喪失し、賃貸借の目的を達成されない程度に達したものとし、賃貸借契約は終了したと判示しています。

 

 他方、東京地裁平成6年10月28日判決は、賃借建物部分の柱、梁といった主要構造部分までが炭化して損傷しているが、当該建物は半焼で、火災後も従前通りの外形を保っており、屋根や外壁が焼け落ちるといったこともなく、当該建物の1階部分は賃借人が修理したこともあって使用されていること、地震、台風等に備えて改修工事を行う必要はあるが、その場合どの程度の費用を要するか必ずしも判然としないものの、当該建物を取り壊し再建築した方が経済的であるとまでは認められず、適当な復旧工事を行うことにより再使用が可能であるとして、当該建物部分が火災により全体としてその効用を失い滅失したとは認められないと判示しています(但し、賃借人が当該建物から出火させた上、これを無断で修復したことなどにより、信頼関係が破壊されたとして、賃貸人による無催告解除を認めています。)。

 

このように、賃貸借の目的になっている主要な部分が焼失して、全体としてその効用を失い、賃貸借の目的が達成されない程度に達した場合には、賃貸借は終了すると解されていますが、この判断に当たっては、焼失した部分の修復が物理的に可能か否かのみならず、その修復が賃貸人の負担する通常の費用で行えるものか否かも考慮されるべきであり、当該修復費が新築する費用に近いか、またはそれを超える場合には、賃貸借は終了したと解されます。

 

 

 

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔

2016.05.24更新

霞が関パートナーズの弁護士伊澤大輔です。

 

JR東神奈川駅が最寄りですが、国道一号線沿いに黄色いのれんが目印の、西海(サイカイ)があります。

このお店は、私が勝手に、日本で一番美味しいと思っているちゃんぽん屋さんです。

 

十数年くらい前は縁あって、週1くらいのペースで、ここでお昼を食べていたのですが、先日、実に数年ぶりに、来店することができました。

 

ちゃんぽんって、野菜に芯があって硬かったり、逆に、作り置きしていて野菜がへにゃへにゃになっていて、歯ごたえがないお店がありますが、西海のちゃんぽんは、歯ごたえはもちろん、麺と具材とスープとがまろやかに調和していて、いつまでも飽きが来ないんですよね。

 

うずらの卵と、小さいエビが、必ず1個ずつ入っていて、見つけたときに、小さな幸せも感じます。

 

ちゃんぽんが美味しいということは、当然、皿うどんも美味しく、毎回、どちらにしようか迷ってしまいます。

チャーハンや普通のラーメン類もあり、きっと美味しいはずですが、私はちゃんぽんと皿うどん以外、食べたことがないので、わかりません(笑)。

さすがに一人では、両方注文するわけにはいきませんが、カップルで行かれたときには、ちゃんぽんと皿うどん、両方頼んで、シェアされることをお勧めします。

 

西海のちゃんぽん

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔

2016.05.19更新

霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

今回は、ぼったくり店におけるクレジットカードの利用について、会員を免責した裁判例(東京地裁平成27年8月10日判決)をご紹介させていただきます。

 

被告は、深夜、1時間4000円との約定で都内の飲食店に入店し、少なくともシャンパン1本を追加注文しましたが、その後店舗内で眠ってしまい、未明に店舗従業員から代金の精算を求められ、代金額を聞かずに、クレジットカードを交付しました。その後、店舗従業員から代金が100万円であると告げられ、これに対し、被告は不当請求であるとして支払を拒絶し、売上票への署名をすることなく、クレジットカードを取り返しました。そして、店舗従業員との話し合いの結果、被告が5万円を払うことで解決することになり、被告はATMから5万円を出金した上で店舗に支払いましたが、それ以前に、店舗は、クレジットカードの処理端末を利用して、78万4100円の利用があったとする手続きをとってしまっており、後日、カード会社と決済代行業者、店舗の間で、順次、これについて立替払いの決済がなされました。この立替金について、カード会社が会員である被告に対し、支払を求めたのが、上記事案です。

 

当該カードの規約には、盗難、詐取、横領又は紛失に係るクレジットカードが第三者により不正使用された場合における利用代金の支払いについても会員本人の責任とした上で、一定の要件の下で会員の損害を原告が填補するものとされていましたが、上記以外の態様により不正使用がされた場合の会員の責任に関する明文規定は存在しませんでした。

 

しかし、頭書の裁判例は、上記に列挙された事由は例示的なものであって、それ以外の態様により会員の正当な意思によることなく占有が移転されるなどしたクレジットカードが不正使用された場合についても、当該規約が適用されると判示しました。

 

そして、当該店舗からの当初の請求は、意図的な過大請求であったと認め、そのような請求が行われることを認識せずに、クレジットカードを交付したことは、被告の正当な意思によらない占有移転であり、店舗従業員が過大請求額に基づく利用があったとする手続きをとったことは不正請求にあたるから、上記規約の適用があり、被告の立替金の支払いは免責される旨判示したのです。

 

以上のとおり、本件事案は、過大請求されることを知らずに、一旦、クレジットカードを交付してしまい、その後、過大請求であることを知って、売上票に署名することなく、クレジットカードを取り返しましたが、カードの利用処理がされてしまっていたという事例です。

 

これに対し、ぼったくり店において、過大請求であることを知りながら、根負けして、クレジットカードを交付し、売上票に署名してしまった場合には、会員が免責されない可能性が高いので、お気を付け下さい。

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔

2016.05.13更新

霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

訴訟において、相手方が、契約書や合意書・覚書など文書の成立の真正を認めるときは、それ以上、その文書が真正に成立したことを立証する必要はありません。しかし、相手方から文書の成立の真正が争われた場合には、挙証者が、その文書が真正に成立したことを立証する必要があります。

 

もっとも、文書の作成名義人の印影が、当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと、事実上推定されます(一段目の推定)。

さらに、この一段目の推定によって、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と定める民事訴訟法第228条4項の要件を充足し、文書全体の成立の真正が法律上推定されます(二段目の推定)。

これを民事訴訟法の分野で、「二段の推定」といいます。

 

ですので、文書が真正に成立したことを争う相手方としては、この二段の推定がされることを妨げ、文書が真正に作成されたのか否かわからない状態にしなければなりません。相手方の反証としては、次のものが考えられます。

①文書に押印された印影が、文書の名義人の印章によって顕出されたものではないとして、一段目の推定の前提事実自体を争う。

②文書の名義人の印章が第三者に盗用された、あるいは、文書の名義人が第三者に印章を預けていたところ、無断で冒用されたなどと、一段目の推定が覆る事情を立証する。

③押印した後に、本文が挿入・削除(文書の変造)されたとして、二段目の推定が覆る立証をする。

 

ところで、挙証者は、必ず民事訴訟法第228条4項による推定によらなければならないということはありません。他の間接事実や、文書作成に立ち合った第三者の証人尋問等によって、文書が名義人の意思に基づいて作成されたことを直接立証してもよいのです。

投稿者: 弁護士伊澤大輔

2016.05.09更新

霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

今回は、元請人が下請人に対し、建築瑕疵を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求をした、東京地裁平成27年6月26日判決をご紹介させていただきます。事案の概要は次の通りです。

 

原告(元請け)は、平成10年に、ディベロッパーであるA社から、千葉県浦安市内における戸建住宅の設計・施工を請け負い、さらに被告(下請け)に対し、その基礎工事を発注しました。平成11年に完成した当該建物は、A社から、Bに対し売却されました。ところが、平成23年に発生した東日本大震災により、周囲の地盤が液状化し、当該建物に不同沈下が生じました。当該建物の所有者Bは、沈下修正工事を計画しましたが、事前調査を行った業者から、基礎の底盤の厚さが薄いため、沈下修正工事ができないと告げられたため、施工業者である原告に対し、損害賠償を求め、両者が協議した結果、原告がBに対し、解決金1000万円を支払うという和解が成立しました。その後、原告が基礎工事をした被告に対し、不法行為に基づき、解決金相当額の損害賠償を求める訴えを提起したというのが本件事案です。

 

原告と被告とは、直接、請負契約を締結した当事者であるわけですから、本来、契約に基づく債務不履行や瑕疵担保責任を追及すべきです。なぜそうしなかったかと言えば、契約の締結・引渡が十数年以上前なので、時効や除斥期間に掛かっていると考えられるため、不法行為に基づく損害賠償請求という構成をとらざるを得なかったものと推測されます。

 

この地裁判決の前提として、建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命・身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、基本的に、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う旨判示した最高裁平成19年7月6日判決、及び「建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」旨判示した最高裁平成23年7月21日判決が参考になります。

 

冒頭の地裁判決は、これら最高裁判例を前提として、「元請人は施主又は居住者等から不法行為に基づく損害賠償責任を追及される可能性があるところ、自らが関与しない下請人の所為によって経済的な負担を強いられないという利益は不法行為上も法的保護の対象となるものと解される。」、「最高裁平成19年判決が建物の建築に係る元請人と下請け人との間の不法行為責任について直接判事したものでないとしても、その理は、下請人の元請人に対する不法行為責任の有無を判断するに際しても同様に妥当すべきである。」などと判示して、一般論として、元請人の下請人に対する、建築瑕疵を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を認めました

 

しかし、あてはめ段階において、専門家調停委員の意見も踏まえ、当該基礎の耐力を全体としてみる限り、不同沈下補正が不可能とはいえないことはもとより、将来的にみて建物の基本的な安全性を損なう蓋然性があるとまでは認められないとして、結論として、原告の請求を棄却しています。

 

 

 

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔

2016.05.02更新

霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

どうして、パラパラのチャーハンって、時々、無性に食べたくなるのでしょうね。

 

「新橋チャーハン王」。普段、炭水化物は極力控えるようにしているので、霞が関ビル地下に開店したときから、ずっと気にはなっていながら我慢していたのですが、先日、誘惑に負けて、ついに入店しまいました。

 

新橋チャーハン王

炭水化物を、油でコーティングするという、シェイプアップを目指している人間にとっては、ものすごく罪悪感を感じさせる食べ物ですが、その分、なんて破壊力のある美味しさなんでしょうね。

 

具材は卵、ハム、なるとからなる、ザ・チャーハンともいうべき、王道のチャーハンで、価格は980円とやや割高ではありますが、あっさりとした鶏スープが付いてくるのは嬉しい限りです。

 

夜は、ハラミなどを出す肉バルとして営業しているようですが、ランチは、ほぼチャーハン1品だけでの営業です。

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔