2018.01.23更新

 

虎ノ門桜法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

最近よく、企業の方から、納品した商品に関する瑕疵のご相談や、瑕疵を理由に代金を支払ってもらえないとして、訴訟のご依頼を受けたりします。

そこで、商人間の売買契約における検査通知義務について整理させていただきます。

 


  

●商人間売買の検査義務

 

商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければなりません(商法第526条第1項)。

 

同条項は、あくまで商人間の取引に関するものですので、当事者の一方または双方が商人でない場合には、この規定の適用はありません。

 

同条項は、売買目的物が特定物の場合に限らず、不特定物の場合にも適用されます。また、売買契約に限らず、制作物供給契約にも適用されます。

 


 

●検査の時期

 

遅滞の有無は、目的物の種類、数量、引渡場所等を考慮して判断されます。

輸入玩具12ダースの引き渡しを受けた後5、6日内に検査・通知した場合に遅滞なしとした裁判例がある一方、酒類の小売店が日本酒の引き渡しを受けた一週間後に検査し、腐敗を発見したとしても、その検査は遅きにすぎるとした裁判例があります。

 


  

●検査方法

 

検査方法は、目的物の瑕疵、数量不足を発見するため合理的と考えられる方法で、かつ合理的注意をつくして行う必要があります。

少量で高価なものは全数個別検査、大量・同質的なものは抜き取り検査が通例とされています。

 


 

●通知義務

 

買主は、目的物に瑕疵または数量不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知をしなければなりません(同法第526条第2項前段)。

「直ちに」とは、可及的に速やかにという意味です。

 

他方、目的物に直ちに発見することのできない瑕疵(受取時に合理的な検査をしても発見できない瑕疵)があり、買主が6ヶ月以内にこれを発見したときも、買主は直ちに売主に対しその通知を発しなければなりません(同条項後段)。

 


 

●通知を怠った場合の効果

 

買主が上記通知をしなかったときは、買主は、売主に対し契約解除、代金減額、損害賠償の請求ができなくなります(同条項)。代物請求、瑕疵修補請求、不足分追加請求といった完全履行請求もできなくなります。

 

他方、瑕疵・数量不足を通知した買主は、瑕疵等の発見時から1年以内(除斥期間)損害賠償等の権利行使をしなければなりませんが(民法第570条、566条3 項)、その権利行使は、裁判外で、売主の担保責任を問う意思を明確にすれば足ります(最高裁平成4年10月20日判決)。

 

投稿者: 弁護士伊澤大輔